税金・年金・保険・お金 読了 約4分
納税管理人は誰に頼めばいい?
先に答え
- 国税庁は「出国」を「納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないことになること」と定義している
- つまり納税管理人を立てるかどうかで、出国前に準確定申告が必要かどうかが変わる
- 納税管理人に資格は不要。日本に住所がある個人か法人であればよく、親族でもなれる
- 日本に不動産を残して貸す場合は、毎年の確定申告が発生するため実務を担える相手を選ぶ必要がある
海外赴任や移住の準備を進めていると、税務署の用語がひとつ出てきます。「納税管理人」。聞き慣れないうえに、出国の日程が迫ってから知ることが多い言葉です。
先に答えを書きます。納税管理人に資格は要りません。日本国内に住所または居所がある個人か法人であればよく、親族でもなれます。そして、立てるか立てないかで、出国前にやるべきことが変わります。
国税庁のタックスアンサー No.1920 は、「出国」をこう定義しています。
納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないことになること
つまり税法上、納税管理人を立てて出国した人は「出国」した扱いにならない場面がある、ということです。この定義が、準確定申告が必要かどうかの分かれ目になります。
納税管理人を立てないとどうなるか
納税管理人の届出をしないで出国する人のうち、確定申告が必要な人は、「出国」のときまでに確定申告(準確定申告)をしなければなりません(国税庁 No.1920)。
該当するのは、給与収入が一定額を超える人や、給与以外に一定の収入がある人などです。自分が該当するかどうかは、勤務先の給与担当か所轄の税務署に確認してください。
会社員として赴任する場合は、非居住者になる時点で年末調整に相当する精算を行うことになります。これも出国前の作業です。
誰に頼むかは「日本に何を残すか」で決まる
納税管理人に求められる働きは、残すものによってまったく違います。
| 日本に残すもの | 納税管理人の仕事 | 向いている相手 |
|---|---|---|
| 何も残さない | 税務署からの書類を受け取る | 日本に住む親族 |
| 住民税・固定資産税の納付だけ | 納付書を受け取って払う | 日本に住む親族 |
| 不動産を貸す | 毎年の確定申告 | 税理士 |
| 日本の会社からの報酬・配当がある | 毎年の確定申告 | 税理士 |
分かれ目は**「毎年の確定申告が発生するかどうか」**です。発生しないなら書類を受け取る役なので、親族で十分に務まります。発生するなら、申告書を作る力が要ります。
とくに日本に不動産を残して貸す場合は、国税庁 No.1926 が定めるとおり、非居住者になっても日本国内の不動産所得に課税されます。賃料からの源泉徴収と確定申告での精算がセットで毎年回るため、実務を担える相手でないと続きません。
費用はいくらか
ここは公的な一次情報がありません
納税管理人の報酬は法律で決まっているものではなく、依頼先が自由に設定します。そのため当サイトは「相場は◯万円」という数字を書きません。代わりに、見積もりを取るときに何を聞けばよいかを下に置きます。
親族に頼む場合は無報酬が一般的です。税理士に依頼する場合は、次の4点を分けて聞いてください。まとめて「いくらですか」と聞くと、事務所ごとに含まれる範囲が違うため比べられません。
- 届出の代行だけの費用 — 納税管理人の届出書を出すところまで
- 確定申告を含む年間の費用 — 初年度と2年目以降で違うことがある
- 不動産所得がある場合の追加 — 物件数で変わることがある
- 帰国時の解任届と、その年の申告 — 帰国年は居住者と非居住者が混ざるため、扱いを確認する
複数の事務所に同じ4項目で見積もりを出してもらうのが、唯一の比べ方です。
いつ届け出るか
納税管理人の選任は、所轄の税務署(納税地を所轄する税務署)に届け出ます。出国までに間に合わせる必要があるため、逆算はこうなります。
- 2か月前 — 日本に残すもの(不動産・報酬・配当・税)を書き出す
- 6週間前 — 親族に頼むか税理士に頼むかを決める。税理士なら見積もりを取る
- 1か月前 — 納税管理人を決め、届出書を出す
- 出国前 — 準確定申告が必要な場合は、出国のときまでに済ませる
Q&A
住民税の納付書も納税管理人に届きますか
住民税は地方税なので、国税とは窓口が違います。市区町村に対する納税管理人の届出が別途必要になる場合があります。出国前に市区町村の課税課に確認してください。住民税は前年の所得にかかるため、出国しても去年の分が残ります。
会社が手続きしてくれるのでは
勤務先が代行してくれる範囲は会社によって違います。給与にかかる部分は会社が処理しても、個人で持っている不動産や投資の分までは見てくれないことがほとんどです。会社に任せられる範囲を先に聞いて、残りを自分で埋めてください。
納税管理人になった人に負担はありますか
税務署からの書類の受け取りと、必要な場合の納付・申告が仕事になります。届いた書類を放置すると滞納や無申告になるため、「頼まれたことを認識している人」にする必要があります。形だけ名前を借りる、という使い方には向きません。
出国前に日本側でやることの全体像は出国前手続きチェックリストにまとめてあります。納税管理人はその中の1項目ですが、住民税・準確定申告・不動産・郵便の4つと連動するので、早めに決めておくと他が動かしやすくなります。
よくある質問
親に頼んでも問題ありませんか
国税庁の説明では、納税管理人は日本国内に住所または居所を有する個人または法人であればよく、特別な資格は求められていません。ただし実際に申告書を作る必要がある場合、親族に税務の実務まで任せられるかは別の問題です。
納税管理人を立てると税金が増えますか
納税管理人は手続きを代わりに行う人であって、課税関係そのものを変えるものではありません。ただし準確定申告の要否など、手続きのタイミングは変わります。
帰国したらどうしますか
納税管理人が不要になったときは解任の届出をします。選任と同じく、税務署への届出が必要です。
この記事の数字は、以下の公式ページを上記の日に直接開いて確認しました。